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2023年08月10日

気象観測機器

ワイヤレス・ウェザーステーションのトラブルシューティング

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デービス社のワイヤレス・ウェザーステーションの日本国内仕様(JP)モデルは、日本の電波法の規程に合わせるため、928.15MHz~929.65MHzの帯域を利用し、周波数ホッピング方式1mW出力(キャリア・センス無)でデータの送受信を行っています。このためUSA仕様のワイヤレス・ウェザーステーションでは見通し距離で300mほどの距離でも通信が出来るところ、150m程度と半分の距離までしか通信が出来なくなっています(USA仕様のワイヤレス・モデルを日本国内で使用しますと電波法違反で罰せられますのでご注意ください)。これに加えて近年携帯電話網の急速な普及により、特に市街地では数多くの携帯電話基地局が設置されるようになってきました。携帯電話のキャリアも増えていますので、その分基地局設置数は大幅に伸びているものと思われます。携帯電話基地局が設置されたことにより、電波干渉、抑圧を受けて、ウェザーステーションの電波の送受信がうまくいかくなったという報告を受けることが最近多くなってきました。920MHz帯は近い周波数帯でDoCoMoやソフトバンクの携帯電話が使われており、その影響を受けているものと思われます。弊社の屋上に設置しているVantage Pro2においても、弊社のすぐ前のビルに携帯電話基地局が設置されてからデータの受信に欠落が発生するようになり、電波抑圧の影響が出ているようです。このように近隣の強い電波源が原因でワイヤレス・ウェザーステーションのデータが受信できなくなった場合はなかなか解消が難しいですが、弊社にお問い合わせいただいた中には、それ以外の原因によるトラブルの場合も多くありますので、ワイヤレス式のウェザーステーションをお使いのお客様で、データがうまく受信できない場合の トラブルシューティング ・ポイントをご紹介したいと思います。

受信がうまくいかない場合の最初のチェックポイント

デービス社のワイヤレス・ウェザーステーションではセンサー側トランスミッターとコンソールの間のデータ・リンクの良好なパフォーマンスが不可欠です。一般的にデービス社のワイヤレス・テクノロジーは非常にうまく機能し、他のほとんどの短距離ワイヤレス・ステーションよりも優れた品質のデータを提供します。しかし、ワイヤレス・ウェザーステーションのコンソールの読み取り値が誤動作し始めた場合、たとえば、読み取り値が失われたり、断続的になったり、明らかにエラーになったりする場合は、考えられる原因としてはワイヤレス・リンクの障害が明らかに1つの候補になります。以下に従ってチェックをしてみてください。

VP2 PCBボード

①読み取り値の損失が単一のセンサー(気温、風速、降雨量など)のみに起きている場合、障害はほぼ確実にセンサー自体の問題であり、無線通信の問題には関係ありません。ワイヤレス送信機または伝搬障害は、その送信機から送信されるすべての読み取り値に常に影響します。他のセンサーが影響を受けないままで、1つのセンサーのデータのみが正しく送信されないことは技術的に不可能です。もちろん、送信機が風力センサーや温度センサーなどの単一のセンサーからのみデータを送信している場合、それがセンサーまたは送信機の故障であるかどうかを確認することは不可能ですが、最も一般的なシナリオはISS送信であり、ここでは区別が明確になります。またVantage Pro2の場合、単一のセンサーの障害であっても、非常にまれではありますが、個々のセンサーと接続するトランスミッター・ボードのインターフェース回路に障害が発生している可能性があります。これは無線通信の問題ではありませんが、修正には通常、トランスミッター・ボード全体を交換する必要があります。

トラブルシューティング

②ワイヤレス送信機の問題が疑われる場合、最初のステップは常にセンサー側トランスミッターのバッテリーの状態を確認することです。これが原因で受信できなくなる前に、常に「ステーションのバッテリー低下」警告が表示されるはずですが、これが見落とされていた可能性があります。新しく良好なトランスミッターのバッテリーは、ソーラーパネルが接続されていない場合でも、常に少なくとも6か月、より一般的には日光が十分当たる場所に設置されたソーラーパネルで18〜24か月持続することが可能になっています。トランスミッターのバッテリー寿命が予想寿命よりも常に(そしてしばしば徐々に)短い場合は、スーパーキャパシタの障害である可能性があります:「コンソールに”Low Battery”の警告が出た場合」のトピックを参照してください。

③センサー側のバッテリーに問題がないと思われる場合は、次にチェックする価値があるのは、「コンソールチャンネル設定」が誤って変更されていないことを確認することです。これはワイヤレスの問題のまれな原因ですが、チェックするのに1分しかかかりません。

④受信不良の奇妙な症状(特に断続的に受信できなくなるような症状)が発生している場合は、少なくともテスト目的で、ISSの送信チャンネルを別のチャンネルに切り替える価値があります。もちろん、ISSトランスミッターとコンソールの受信IDの両方が一致するように構成する必要があることを忘れないでください。たとえば、500m程度以内の誰か(150mまでが信頼性の高い受信の標準範囲ですが、信号は500〜600mなどの長距離で反射波などにより受信できることもあります)が、あなたと同じチャンネル(もちろん、ほとんどの場合デフォルトのチャンネル#1)を使用してデービスのワイヤレス・トランスミッターを起動した場合、2つのシステム間の干渉の結果として、確かにデータの欠落または予期しない読み取り値が発生する可能性があります。

反射波

異なる地域のワイヤレス・コンポーネントを混在させることはできません。異なる国、地域向けのワイヤレス・コンポーネント(センサー・トランスミッター、コンソールなど)は、それぞれの地域の電波法規に準拠するために、異なる無線周波数で動作するように設定されています。大きく分けて2つの主要な地域は北米とその他の地域(OV = OVerseasと指定)ですが、日本をはじめ、オーストラリアやニュージーランドなど、独自の規制がある地域もいくつかあります。異なる地域のトランスミッターとコンソール/受信機が一緒に機能することは決してなく、試してみても無意味です。コンポーネントの使用可能地域は、通常、製品番号の最後の2文字 (存在する場合) から見つけることができます。製品番号が単に6152など、つまり末尾の文字がない場合、これは北米向けのユニットになります。ただし、6152UK、6152EU、6332OVなどの末尾の文字はすべて、北米以外のその他の地域の周波数を意味しています。(UK / EUの指定は、ステーションに付属する電源アダプターのタイプを示すだけで、これらはすべて標準のOVワイヤレス周波数です。)既存のステーションで使用するために別の地域からコンポーネントを購入することには特に注意してください。価格が魅力的に思えるかもしれませんが、新しいコンポーネントが既存のステーションで機能しない場合はお金が無駄になります。

⑥最後に、上記のいずれも考えられる原因ではないと思われる場合は、以下で説明するように、ワイヤレス受信品質を確認することをお勧めします。

無線受信品質の確認

デービス社のワイヤレス・テクノロジーの一般的な特性を簡単に要約すると、 ワイヤレス信号の標準範囲は、100〜150mの見通し距離です(ISSとコンソールに標準の内蔵ホイップアンテナを使用した場合)。リピーター機能を使用すると、その範囲を拡大することができます。また、信号は基本的にトランスミッターとコンソールの間を直線的にのみ進み、受信品質を評価するときに重要なのはこの直線信号経路であることも忘れないでください。たとえば、このラインが通常のガラス窓(信号に対して比較的透過的)を通過するように配置できる場合、最高の受信品質を得ることができます。

ただし、150mの最大オープンエア範囲に向けて使用する場合、または特に信号が複数の厚い壁を通過する必要がある場合(信号が金属の壁や鉄筋コンクリートなどの同様の材料を透過できないことも覚えておいてください)、コンソールのディスプレイにデータの欠落または一貫性のない読み取り値が見られる場合があります。多くの場合、適度に長い範囲(100〜150mなど)と、信号を著しく損なう壁やその他の障壁の組み合わせである可能性があります。信号のかなりの割合が地面に失われている場合、有効範囲は縮小されることに注意してください。可能であれば、この影響を最小限に抑えるために、トランスミッターとコンソールの両方を少なくとも地上から数メートル上に設置することは価値があります(センサーの設置位置に関する推奨事項を尊重しながら)–これは、コンソールと送信機の位置の間により高い地面がある場合に特に重要です。受信が限界で可能な状況では、コンソール/ WLLユニットを1階ではなく2階に配置すると非常に役立つことが多く、ガラスが通常ワイヤレス信号に最大の透明性を提供することを考えると、センサー・トランスミッターの方を向いた2階の窓の近くに設置することは優れた解決方法になる可能性があります。

コンソールとISSの標準のホイップアンテナは、最適な受信のために互いに平行である必要があることに注意してください。通常、これは両方のアンテナが垂直の場合です。しかし、たとえば、ISSがコンソールの上方にある場合は、両方のアンテナを水平にした方が受信感度が良くなります。

すべてのデービス社トランスミッターには使用可能な8つのワイヤレス・チャンネルがあり、チャンネルID=1が常に工場出荷時のデフォルトです。トランスミッターとコンソールは、コンソールでデータを正しく受信するために、設定が一致している必要があります。アクティブな各トランスミッターは、同じサイト上の他のトランスミッターに対して常に異なるチャンネル番号を使用している必要があります。また、コンソール設定では、アクティブに使用されていないすべてのチャネルをオフに設定する必要があります。

上記のすべての構成のチェックに加えて、デービス社のワイヤレス・システムは、受信診断スクリーンを使用して受信品質を評価する客観的な数値的方法を提供しています。詳しくはコンソールマニュアルをご覧ください。

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